退職後の健康保険手続き
退職後に必要な手続きは、社会保険(健康保険、年金、雇用保険)と税金です。
退職後すぐに、次の会社へ転職しないのであれば、手続きが必要です。
因みに、すぐに次の勤め先が決まっている場合は、次の会社が手続きをしてくれますので大丈夫。
ということでこちらでは、社会保険の中の1つである、健康保険についてご紹介します。
・キャリアコンサルタント【国家資格保有】
・産業カウンセラー【資格保有】
企業内で人事・スタッフ育成を担当した経験から、30代でキャリアコンサルタントの資格を取得。40代で人材派遣会社へ転職した経歴を持つ。→もっと詳しく
【健康保険】退職後に手続きしないとどうなる?
退職後に、会社で加入していた健康保険はどうなるのでしょうか?
会社を辞めれば、会社の健康保険も脱退することになります。
これまでの健康保険は利用できなくなります。(保険証を持っていたとしても、使えなくなります。)
ですので、自分で健康保険に入り直す必要があります。
健康保険に入らない『無保険者』も世の中にはいますが、となると病院で治療を受けた場合は、全額を負担し、これまでの何倍もの金額を請求されることになります。
ということで、基本的には何かしらの保険に入ることになります。
世の中の健康保険の種類は主に3つ
健康保険の主なものは、『政府管掌健康保険』、『組合管掌健康保険』、『国民健康健康保険』の3つです。
会社で加入するのは一般的に前の2つです。もし退職し、これらの保険を脱退した後は、
以下の3つから加入する方法を選択することになります。
- 国民健康保険へ加入する。
- 『任意継続保険者制度』を利用して、退職した会社の健康保険に引き続き加入する。
- ご主人やご家族(3親等以内)の扶養になる。
どの方法がよいかは、その人の状況によって保険料が違いますので、一概にどれがいいとはいえません。
また、ご主人やご家族の扶養になる場合は、あなた自身の保険料はかかりません。
加入手続きは、扶養する方の会社でしてもらうことになります。詳しくは以下で。
『政府管掌健康保険』や『組合管掌健康保険』に『加入しない人』が入るのが、『国民健康保険』です。ということは、会社を辞めたら、基本的には『国民健康保険』になるんですね。
参考:療養の給付の自己負担割合
年齢 | 所得差 | 自己負担 | 制度 |
---|---|---|---|
小学校入学前 | なし | 2割 | 国民健康保険・健康保険など |
小学生〜69歳 | なし | 3割 | 国民健康保険・健康保険など |
70歳〜74歳 | 一定以上所得者 | 3割 | 国民健康保険・健康保険など |
70歳〜74歳 | 一般 | 2割 | 国民健康保険・健康保険など |
75歳以上 | 一定以上所得者 | 3割 | 後期高齢者医療制度 |
75歳以上 | 一般 | 1割 | 後期高齢者医療制度 |
※昭和19年4月1日以前生まれ人は1割
①国民健康保険へ加入する場合
国民健康保険へ加入したい場合は、住民登録をしている役場で手続きできます。
保険料は、市区町村によって違いますが、前年の収入が計算の基礎になります。
具体的にいくらになるか調べたい場合は、住民登録している役場に問い合わせます。
国民健康保険へ加入する場合の手続き場所と、期間、必要書類については以下をご覧ください。
- 手続きする場所・・・住民登録している役場
- 手続き期間・・・退職日翌日から14日以内
- 持参するもの・・・離職票(退職日から後日郵送される。)・マイナンバー・印鑑・身分証明書(地域によって健康保険資格喪失証明書、源泉徴収票)
②任意継続被保険者制度を利用したい場合
任意継続被保険者制度を利用したい場合は、自分が実際に負担する金額と、国民健康保険の負担金額を比べてみた方がよいです。
この制度を利用できるのは、退職後2年間です。そして、加入期間が2ヶ月以上必要です。
『国民健康保険』と比べて、負担額の少ない方を選びましょう。
さらに加入手続きは、退職日の翌日から20日間以内なのでのんびりしていると、加入できなくなってしまいます。
保険料は在籍中の2倍
保険料は、在職中の2倍になります。在職中は、会社が半分を負担していてくれていた分の負担が増えるためです。
具体的にいくらになるかは、人によりますので、ご自身で調べるしかありません。
標準報酬月額(上限28万円)×『健康保険組合 』or 『協会けんぽ』の都道府県ごとに定めた保険料率
『任意継続者保険制度』を利用したい場合
- 『協会けんぽ』→自宅住所地を管轄する『協会の都道府県支部』
- 『組合健保』→その組合の事務所
で手続きします。
※組合によって若干手続き内容が違います。事前に電話で、必要な書類などの確認をしてから手続きしましょう。
③ご主人やご家族(3親等以内)の扶養になる
失業中、ご主人やその他の家族の扶養になるという選択もあります。
この場合あなたの保険の負担はありません。
手続きは、あなたを扶養する家族の方の会社で手続きをしてもらうことになります。
扶養になるには、配偶者や親族かどうか、同一世帯かどうかなど、条件を満たす必要があります。
また、その事実を証明する書類(課税証明書、雇用保険の離職票、受給資格者証、住民票など)の提出が必要となります。
必要提出書類は、扶養する側と、される側の関係によって代わります。
加入する『保険組合』や『協会けんぽ』に問い合わせて、必要提出書類を確認してみましょう。
注意
雇用保険の受給がある場合は、雇用保険も収入となりますので、一定の額を越えると被扶養者となれないことも。
もちろん、給付が始まる前や、終了した後は被扶養者になることができます。
40歳以上は必ず支払う介護保険料について
介護保険は40歳以上は、全ての人が入ることになっています。
介護保険料の納め方は、一般保険料にに上乗せして毎月支払います。
会社勤めの際は、介護保険料も会社が半分負担してくれますが、『任意継続被保険者』の『介護保険料』については、一般保険料と同様に全額自己負担となります。
また『国民健康保険』に加入の場合も、一般保険に上乗せして世帯主が支払います。
退職後の健康保険手続き まとめ
いかがでしたでしょうか。退職後に必要な社会保険(健康保険・年金・雇用保険)と税金の手続きのうちの一つである、健康保険についてをご紹介しました。
『国民健康保険』がいいか、『任意継続被保険者制度』がいいかは、本当に人によります。
実際に自分が負担する金額を計算してみましょう。
分からなければ、役場や、協会けんぽなどに問い合わせを。
ぜひ参考にしていただき、スムーズな退職後手続きをなさってください。